オルカンを淡々と積み立てる。これが連載の本丸です。まめ家の新人研修【第3話・積立編】

研修4日目です。いよいよ実戦、フィールドに出ます。

ここまでで、種銭を作り(第1話)、お金を入れる器を揃えました(第2話)。今日はその器に中身を入れます。連載でいちばん大事な、本丸の回です。

最初に結論から言います。やることは「新NISAで、オルカンを、クレジットカードで、毎月自動積立に設定する」。これだけです。一度設定したら、あとは基本ほったらかし。拍子抜けするくらいシンプルですが、私が15年やってきたことの中身は、本当にこれだけなんです。

前回:第2話・口座開設編

目次

何を買うか:私はオルカン1本

まず「何を買うか」。私の答えは、オルカン(全世界株式のインデックスファンド)です。正式には「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」という名前の投資信託で、これ1本で世界中の株にまとめて分散投資できます。

世間では「全世界(オルカン)か、米国だけ(S&P500)か」という論争がありますが、正直、私はどっちでもいいと思っています。どちらも長期で見れば右肩上がりに育ってきた優秀なインデックスで、どっちが将来勝つかなんて、私にも分かりません。

大事なのは、その論争に時間を使うことより、「1本に絞って、続けること」です。あれもこれもと手を広げず、自分が信じられる1本を淡々と積む。私はたまたまオルカンを選んでいますが、あなたがS&P500の方がしっくりくるなら、それでいい。続けられる方を選んでください。

ちなみに正直に白状すると、私自身は最近こそオルカン1本に落ち着いていますが、実はS&P500も個別株もちょこちょこ持っています。ただそれは15年やってきた「遊び」の部分で、初心者がいきなり真似する必要はまったくありません。その話は次回(第4話)で。

どこで買うか:新NISAという非課税の箱

次に「どこで買うか」。答えは新NISAです。

普通、投資で儲かると、その利益に約20%の税金がかかります。でもNISAという制度を使って買うと、この税金がゼロになります。同じオルカンを買うなら、使わない手はありません。

新NISAには「つみたて投資枠(年120万円)」と「成長投資枠(年240万円)」があり、合わせて年360万円まで非課税で投資できます。とはいえ、新社会人がいきなり年360万も投資するのは現実的じゃない。まずは「つみたて投資枠でオルカンを毎月コツコツ」で十分です。枠を使い切れなくても、まったく問題ありません。

どうやって買うか:クレカ積立で「先取り」を自動化する

そして「どうやって買うか」。ここが第1話とつながります。

第1話で「種銭は先取りで自動化」と言いました。投資も同じです。毎月手動で買おうとすると、相場が下がった月に「もう少し待とうかな」と手が止まる。だから、クレジットカードでの自動積立に設定して、あとは何もしない。これが最強です。

楽天証券なら、楽天カードで積立を設定するだけ。これで毎月決まった日に、決まった額のオルカンが自動で買われていきます。しかもクレカ払いなので、積立額に応じてポイントもつきます(楽天カード+オルカンで0.5%程度。ポイント条件は各社よく変わるので、最新は公式で確認してください)。

設定の仕方は、貯金の自動化とまったく同じ発想です。「意志でがんばる」のではなく「仕組みで放置する」。一度セットすれば、もう値動きに一喜一憂しなくて済みます。

ポイント還元を突き詰めたい人へ、正直な話も書いておきます。還元率だけを見れば、マネックス証券×dカードの方が高い(少額なら1.1%程度)です。私は楽天で銀行・証券・カードを一気通貫させる手軽さを取っているので0.5%で満足していますが、「始めるなら少しでも還元率の高いところで」という考え方も十分アリです。ここは好みと、面倒くささをどこまで許せるか、です。

いくら積み立てると、どうなるか

では、実際にいくらになるのか。年利7%で運用できたと仮定して、20年間積み立てた場合をざっくり並べてみます。

毎月の積立額20年間の元本20年後(年利7%想定)
月3万円720万円約1,560万円
月5万円1,200万円約2,600万円
月10万円2,400万円約5,200万円

月3万円なら、新社会人でも頑張れば届く額だと思います。それでも20年後には倍以上。これが、次に説明する「複利」の力です。

(※年利7%は、全世界株式のこれまでの実績をもとにした「仮定」であって、将来を保証する数字ではありません。下がる年もあります。この前提は連載の土台なので、第0話でも強めに書きました)

複利は、後半で勝手にレベルが上がる

「複利」というのは、増えたお金がさらに増えを生む仕組みです。

RPGでいうと、最初はレベルがなかなか上がらないのに、後半になると経験値が一気に入ってレベルがぐんぐん上がる、あの感覚に近い。雪だるまも、最初は手で転がしても小さいけれど、ある程度大きくなると、転がすだけで勝手にどんどん大きくなりますよね。お金も同じで、後半になるほど増えるスピードが加速します。

だから、早く始めた人ほど有利です。金額の大小より、「時間」が複利の一番の燃料だからです。月3万円でも、20年という時間をかければ、元本720万円が倍以上に育つ。これが時間の力です。

途中で必ず下がる。でも、続けた人が勝つ

ここで、いちばん大事な注意を。

この積立は、途中で必ず下がります。世界経済が揺れれば、オルカンの値段も大きく下がる年がある。実際、私もコロナショックのときは、積み上げてきた含み益がごっそり削れました。画面の数字が真っ赤になるのは、何年やっても気持ちのいいものではありません。

でも、私はそこで売りませんでした。むしろ淡々と積み続けた。だから、その後ちゃんと戻りましたし、暴落時に安く買えた分が、後でしっかり効きました。

第1話で「土台(種銭)がないと、暴落で怖くなって一番売っちゃいけないところで売る」と書いたのは、このためです。生活防衛資金があれば、暴落が来ても生活には困らないので、投資の方は落ち着いて放置できる。順番を守るというのは、こういうことです。

それと、「暴落を待ってから買おう」と考える人へ。気持ちはすごく分かります。でも、株価は長い目で見れば右肩上がりなので、待っている間にも上がっていきます。私自身、「そろそろ暴落が来るはず」と待ち続けて、結局来なかった、という間抜けな経験があります。

暴落を待ち続けた話:夏のボーナス、どう動かすか

初心者におすすめなのは、まず毎月のドルコスト(定額積立)を自動で続けること。その上で、もし大きく下がる場面が来たら、余裕資金で少し買い増す。このくらいのバランスが、いちばん長続きします。

余力があれば、iDeCoも

NISAでの積立が軌道に乗って、まだ余力があるなら、iDeCo(individual型の私的年金)も選択肢に入ります。

iDeCoの一番の魅力は、積み立てた額がまるごと所得控除になること。つまり、その年の税金が安くなります。しかも2027年1月からは、会社員の掛金上限が引き上げられる予定で、活用の幅が広がります。

ひとつだけ注意。iDeCoのお金は原則60歳まで引き出せません。受け取るときには課税もあります。ただ、入口の節税メリットが大きいので、長期で見れば得だというのが私の考えです。とはいえ初心者がいきなり手を出すものではないので、まずはNISA。iDeCoは「余力ができてから」で十分です。

NISAとiDeCoの細かい比較は、別の記事に詳しく書いています。

NISA vs iDeCo、どっちを優先する?

最初の一歩は、誰でも下手でいい

最後に、私の昔の話を。

私が最初に投資を始めたきっかけは、銀行勤めの後輩からの勧めで、ある金融商品を契約したことでした。正直、今思えば最適な選択ではなかったけれど、あれはあれで、いい勉強になりました。そこから自分で本を読んで勉強して、回り道をしながら、今のオルカン積立にたどり着いています。

何が言いたいかというと、最初から完璧な正解を引く必要はない、ということです。誰でも最初は下手です。動きながら覚えればいい。

そして、この回でいちばん伝えたいのはこれです。投資は、貯金の先取りと同じで、「設定する」もの。気合や根性で毎月がんばるものではありません。一度、自動積立をセットしてしまえば、あとはほったらかしで勝手に育ちます。タイミングを計る必要も、毎日チャートを見る必要もありません。

設定して、忘れる。それくらいがちょうどいい。

次回は、私が「遊び」でやっている個別株と優待の話です。オルカンの本筋から少し外れた、ちょっと楽しい寄り道の回にします。

それでは、研修5日目で。


第4話:個別株・優待編

第5話:固定費編
第6話:節約・ポイ活編
第7話:保険料控除編

※この記事は私個人の経験にもとづく考え方の紹介で、特定の金融商品の購入を勧めるものではありません。投資は元本割れのリスクがあります。制度の内容・手数料・ポイント・税制は変更されることがあるので、実際に始める前に必ず公式サイトや最新の情報をご確認ください。


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