月1万円の固定費を削るのは、300万円を運用しているのと同じ。まめ家の新人研修【第5話・固定費編】

研修6日目です。今日から「守り」に入ります。

これまでの第1話〜第4話は、種銭を作って、口座を開いて、オルカンを積み立てる——いわば「攻め」の話でした。今日からの3回は、逆に「守り」の話です。

桃鉄でいうと、貧乏神(ボンビー)対策です。せっかく稼いだお金を、気づかないうちに削っていく相手がいる。家計におけるその貧乏神が、放っておくと勝手に増え続ける「固定費」と「なんとなくの浪費」です。

守りの3回は、こう分けます。今日(第5話)は、家賃・車・通信という「大物の固定費」。次回(第6話)は、ポイ活やキャッシュレスといった「細かい支出の最適化」。最後(第7話)は、保険料控除という「税金の裏技」。今日はその初回、いちばん効果の大きい大物からいきます。

前回:第4話・個別株・優待編

目次

まず、固定費削減がなぜ「最強」なのか

具体的な話に入る前に、どうしても最初に伝えたいことがあります。

固定費の削減は、収入を増やすより効率がいい。理由は3つあります。

ひとつ、税金の差です。給料を1万円増やしても、税金や社会保険料が引かれて、手元に残るのは7,000円ちょっと。でも固定費を1万円削れば、それは丸ごと1万円が手元に残ります。つまり「1万円の節約」は、「1.3万円の昇給」に匹敵します。

ふたつ、労力の差です。収入を増やすには、働き続けないといけません。でも固定費の削減は、一度見直せば、あとは何もしなくても効果が毎月自動で続きます。一度きりの労働で、ずっと効く。第1話から言っている「仕組みで自動化」と同じ発想です。

そしてみっつ、これがいちばん大事なんですが、資産の差です。月1万円の固定費を削るというのは、約300万円の運用資産を持っているのと、ほぼ同じ意味を持ちます。

ピンとこないかもしれないので説明します。資産運用の世界では、持っている資産から年4%ずつ取り崩しても元本が長持ちする、という考え方があります。逆算すると、年12万円(=月1万円)を生み出すには、約300万円の資産が必要になる。つまり、月1万円の固定費を削った人は、何もせずに300万円分の資産が働いてくれているのと同じ状態を、タダで手に入れたことになります。

これが、私が「攻めより守りが効く」と言う理由です。では、いちばん大物の固定費から見ていきます。

大物その1:家賃

固定費の王様は、家賃です。毎月のいちばん大きな固定費が、ここだからです。

正直に言うと、20代でいちばん資産形成のスピードが上がるのは、「家賃が低い時期」です。そして家賃を限界まで下げる最強の方法が、実家から通うこと。

ざっくり計算しても、家賃7〜8万円が浮けば、それだけで年90〜100万円。さらに食費や光熱費も親と分け合えるぶん安くなるので、トータルでは年間200万円近い差が出ることもあります。これは、新社会人の手取りの何ヶ月分にもなる金額です。

私自身、実家から通えた時期があったから、今があると思っています。お金の面だけじゃありません。子どもが生まれてからは、親が近くにいることが本当に助かりますし、それ自体が親孝行にもなる。お金と、家族と、親孝行が、同じ方向を向くんです。

ただ、これは押しつけではありません。実家がない人、家庭の事情で出たい人、職場が遠くて通えない人、いろいろいます。そういう場合は、「実家に住め」ではなく「家賃をできるだけ最小化する」方向で考えてください。会社の家賃補助を上限まで使う、相場より安い物件を選ぶ、職場に近くして交通費と時間を削る。考え方は同じで、固定費の王様を、いかに小さく抑えるかです。

持ち家か賃貸か、35年で9,000万円差の話

大物その2:車

地方に住むなら、車はほぼ必須です。私もそうです。だから「車を捨てろ」とは言いません。ただ、買い方には強い持論があります。

新車は買いません。中古で十分です。

車は買った瞬間から価値が下がっていく代表的なものなので、誰かが新車で買って数年乗った「中古」を狙うのが、いちばん割がいい。私のおすすめは、残価設定クレジット(残クレ)で乗られた3年落ちあたり。状態がよくて、ちょっと変わったオプションがついた個体が、新車よりずっと安く出てきます。

うちの車も中古ですが、妻はいつも「これで十分、満足」と言っています。見栄を張って新車を買うより、中古で浮いたお金をオルカンに回したほうが、長い目で見たら家族はずっと豊かになります。

ちなみに、もし都市部に住んでいて電車で生活が回るなら、そもそも車を持たないのが最強です。維持費がまるごと消えるので。必要かどうかは、住む場所次第です。

大物その3:通信費(携帯とネット)

3つめは通信費。ここは工夫しがいがあります。

まず携帯。第4話で「楽天株を持つと携帯代が実質ゼロに近づく」と書きましたが、その具体的な中身がこれです。私は2枚のSIMを組み合わせています。

電話番号のメイン回線は、povoというサービスで維持しています。これは基本料金0円で持てるのですが、半年に1回だけ有料の利用が必要なルールがあるので、半年に1度、ローソンの引換券がついてくるトッピング(数百円)を買って、番号を維持しています。実質、ほぼタダで電話番号をキープしているわけです。

データ通信は、楽天株の優待でもらえる30GBの回線を使います。これで月のデータもまかなえる。つまり、楽天株さえ持っていれば、通信費はほとんどかかりません。

次にネット回線。一人暮らしで、家でそれほど動画を見ないなら、楽天の回線のテザリングだけで足りてしまう人もいます。一方、家族がいたり在宅で大量に使うなら、安定した光回線を引いたほうがいい。ここは生活スタイル次第です。

光回線を引くなら、コツがひとつ。2年ごとに乗り換えると、そのたびに数万円のキャッシュバックがもらえるので、実質の月額をかなり下げられます。手続きが面倒に思えるかもしれませんが、回線の切り替え自体は大した手間ではありません。

やらなくていい節約もある

ここまで「削れ」という話をしてきましたが、最後に逆のことを言います。

何でもかんでも削ればいい、わけではありません。

私も若い頃は、1円でも安いガソリンスタンドを探したり、こまめに電気を消したりしていました。でも今は、そういう「10円、20円の節約」はほとんどしません。労力のわりに効果が小さいし、何より、やっていて疲れるからです。

水道光熱費も、把握はしますが、無理に削ろうとは思いません。満足度を大きく下げてまでやる節約や、今しかできない体験をケチること——これは、やらないと決めています。子どもが小さい今の旅行や、家族との外食を削ってまで貯めても、お金は取り戻せても時間は取り戻せません。

削るべきは、満足度を下げずに、仕組みで自動的に効く固定費。家賃・車・通信は、一度見直せばその効果がずっと続く、まさにそういう固定費です。

固定費の見直しは、ゲームのように楽しめると最強です。「この固定費、もっと下げられないか?」と攻略するのを面白がれる人は、放っておいてもお金が貯まっていきます。一度設定すれば、あとは貧乏神が寄ってこない。そういう守りの陣形を、今日のうちに作ってしまいましょう。

次回は、もっと細かい「日々の支出」を最適化する話です。キャッシュレス、ポイ活、ふるさと納税で、年間いくら「捻出」できるか。第0話で予告した、あの計算表をついに全部出します。

それでは、研修7日目で。

第6話:節約・ポイ活編
第7話:保険料控除編


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