夏のボーナス80万、どう動かすか。20年運用で◯万円差がつく数学的事実

夏のボーナスが入る季節になりました。

今年の私はセミリタイア中なのでボーナスはないんですが、Xのタイムラインを見ていると「ボーナス入った、新NISAに全部入れるか、それとも毎月に分けるか」という相談がちらほら流れてきます。

我が家は基本ドルコスト平均法で積み立ててきました。最近では妻と二人で月60万、年720万の新NISA枠を毎月分散で埋めるスタイル。これを14年続けています。

その上で、結論から書きます。

ボーナスは受け取ったらすぐ一括が、数学的には正解。

でも私は今もドルコストでやっています。矛盾しているように見えるかもしれません。この記事はその「数学的正解」と「私の運用」のズレを、自分の家計を例に書きます。

目次

ボーナス80万円、3パターンで試算してみた

まず数字から入ります。

夏のボーナス手取り80万円を、すべてオルカン(年率5%想定・20年運用)に入れたとして、3パターンで比べます。

投資方法投資完了タイミング20年後の評価額
①受取月に一括0ヶ月で完了約212万円
②6ヶ月分散6ヶ月で完了約208万円
③12ヶ月分散12ヶ月で完了約203万円

20年後の差は、一括 vs 12ヶ月分散で約9万円

意外と差が小さいと思うかもしれない。でもこれは「マーケットが上がり続けたら」の話。逆に言えば、20年運用したときに約9万円ぶん、平均的に取り損ねているということになる。

そして重要なのは、これは「20年間の運用差」ではなく「最初の1年間の投資タイミングの違い」が20年後に9万円差を生むということ。投資タイミングの1年を分散することのコストは、思っているより重い。

Vanguardの研究:一括は分散に68%勝つ

これは私の試算だけの話じゃない。

Vanguardが1976〜2022年の米英豪3市場のデータで調べた研究では、一括投資が分散投資(ドルコスト平均法)に勝ったのは約68%。10年運用ベースで、平均2〜3%のリターン差。

理屈はシンプルで、株式市場は長期で見ると右肩上がりだから、「早く市場に入れた方が、より長く成長の恩恵を受けられる」。当たり前といえば当たり前。

ドルコスト平均法というのは、聞こえはいいけれど、要するに「キャッシュで待つ期間が長い」だけ。Vanguardのレポートのタイトルは “Dollar-cost averaging just means taking risk later”(ドルコスト平均法は、単にリスクを取るタイミングを遅らせているだけ)。身も蓋もないけど、正直な表現だと思います。

じゃあなぜ私はドルコストでやっているのか

ここからが本題。

数学的には一括が勝つ確率68%。それを知っていて、私はドルコストでやっています。

理由は3つあります。

理由①:暴落を10年以上待っているが来ない

私はずっと「大きな暴落が来たら一括で入れる」と思って、待機資金をある程度キャッシュで持っています。

でも、ここ数年、思っているレベルの暴落が来ません。コロナショックのときは積立額を倍に増やしたけれど、あれ以降「これは!」というタイミングはほぼありません。

つまり、「暴落を待つ」という行為自体が、機会損失を生み続けています。Vanguardが言う「キャッシュで待つ期間が長いだけ」を、私自身が10年以上やってしまっています。これは反省点。

理由②:年720万の枠を「毎月分散」で埋める方が運用が回る

我が家のスタイルは、夫婦の新NISA枠720万を月60万ずつ毎月買付。ボーナスが入っても「投資計画の補填」に使う。生活防衛資金の補填→投資計画への補填、という順序。

これは数学的に最適ではないけれど、「投資判断を毎月の自動化に乗せる」ことで、夫婦の意思決定コストをゼロにする効果があります。月60万を14年やってると、もう「迷う」という工程がない。

理由③:メンタル耐性のリアル

正直、80万を一括で入れた翌週に市場が10%下がると、私でも結構しんどいです。「-8万円」を1週間で見せられたら、淡々と「長期投資だから」と言える人は実はそんなに多くない。

Vanguardの研究自体、「数学的には一括だけど、メンタル面でドルコストを選ぶのもアリ」と書いています。私はずっと数学的合理性を追ってきたつもりだけど、結局のところメンタルの安定を優先している自覚があります。

世間の人向け:ボーナスの3段ロケット運用

ここまで私の事情を書いたけど、これから「ボーナスをどうしよう」と考えてる人向けに、もう少し汎用的な枠組みを書きます。

ボーナスは①生活防衛資金の補填 → ②家族イベント費 → ③残り全額を新NISA枠へ、という3段ロケットがおすすめです。

配分用途
①生活防衛資金不足分生活費6ヶ月分が現金で確保されているか確認、足りなければ補填
②家族イベント費必要分帰省・旅行・家族の楽しみに使う分。家族用の財布があるなら補充
③残り全額残り新NISA枠(特定口座でも可)へ即一括

我が家は②の家族イベント費を別枠で管理していなくて、欲しいタイミングで惜しまず使うスタイルなんだけど、家計をきっちり管理してる家庭は②を切り出した方が「使うべき分」と「投資する分」が混ざらないと思います。

そして③の「残り全額」は、Vanguardの研究を信じるなら受け取った月に一括で入れる方が、確率的には有利。

結論:68%の正解と、32%の保険

ボーナスは受け取ったらすぐ一括が、数学的には正解。確率68%で勝つ。

でも、残り32%のうち、最悪のタイミングで入れると20年経っても痛い。だから「自分のメンタル耐性で続けられる方法を選ぶ」というのが、正しい答えだと思います。

私はドルコストを続けます。でも、「一括が確率的に有利だと知った上で、メンタルの安定を選んでいる」というのは大事な自覚で、これを「分散の方が安全」と勘違いしてる人とは見えてる世界が違います。

桃鉄でいうと、これは「物件を一気に買うか、貧乏神を避けながら毎ターン少しずつ買うか」の選択に似ています。一気に買えば早く目的地に着けるけれど、運悪く貧乏神がついたときの痛みも大きい。少しずつ買えば被害は小さいけれど、ゴールまでが遠い。

どちらが正解かは、その人がどれくらい不運を引くのが怖いかによる。

夏のボーナスが入ったら、まずは生活防衛資金と家族の楽しみを確保してから、残りはなるべく早く市場に入れる。これだけは間違いないと思います。


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