3人目が生まれて、毎日のように赤ちゃんを抱っこしています。
すると、ときどき言われます。「抱き癖がつくよ」と。たいてい、ひとつ上の世代からです。悪気はなくて、心配して言ってくれているのは分かります。
ただ、3人育ててきて、私はもうこの言葉を、ほとんど気にしなくなりました。
1人目のときは、育児書に振り回されていた
白状すると、1人目のときの私は、まるで逆でした。
やれ「抱き癖がつく」、やれ「少し泣かせて待つといい」、やれ「いや、すぐ応えたほうがいい」。本やネットであれこれ読んでは、そのたびに気持ちが揺れて、抱っこひとつにいちいち理屈を探していました。
いま思うと、赤ちゃんを目の前にしながら、頭の中ではずっとエクセルを開いているような状態でした。これは正解か、間違いか。最適解はどっちか、と。
ふだん私は、お金のことでも家事のことでも、何でも数字や仕組みで考えたがる人間です。それが悪いとは思いません。投資は、その考え方でうまくいきました。
でも、赤ちゃんだけは、どうしてもエクセルにも仕組みにもなってくれませんでした。
3人目になって、やっと肩の力が抜けた
3人目になると、いろいろなことが、いい意味でどうでもよくなってきます。
細かい正解探しをやめて、泣いたら抱く、それだけになりました。抱き癖がどうとか、もう考えていません。
そうしたら不思議なもので、いちばん穏やかに育っている気がするんです。神経質に「これでいいのか」とやっていた1人目のときより、ただ抱いているだけの3人目のほうが、親も子も、落ち着いている。
あとで知った「抱き癖は迷信」という話
肩の力が抜けたあとになって、こんな話を知りました。
そもそも「抱き癖」というのは、どうやら迷信に近いものらしい、と。泣いたら抱く、求めたら応える。そうやって応えてもらえた経験が積み重なると、赤ちゃんの中に「困ったら助けてもらえる」という安心の土台ができる。心理学では、これを「安全基地」と呼ぶそうです。
しかも面白いのは、その安心の土台がしっかりしている子ほど、あとで親から離れて、外の世界へ出ていけるようになる、という点でした。
抱っこは、自立の反対ではなかった。むしろ、自立の土台のほうだったんです。
しがみついてくるのは、甘えん坊だからではなくて、安心を補給しに来ているだけ。補給が済めば、また自分から離れていく。そう思って見ていると、赤ちゃんがぐずって手を伸ばしてくるのも、ずいぶん違って見えてきました。
理論が、肩の力を抜いた私の選択を、あとから後押ししてくれた感じでした。1人目のときにこの順番だったら、と少しだけ思います。
上の子たちを見ていて、思うこと
これは完全に親バカの実感ですが、上の子たちを見ていても、同じことを感じます。
我が家では最近、上の子に「自分で決めさせる」ことや、「手伝いすぎず、できたら手を引く」ことを意識しています。服も、勉強も、できるだけ本人に委ねる。
それがうまくいくのは、たぶん、その手前に安心の土台があるからです。「失敗しても大丈夫」「困ったら戻ってこられる」と思えているから、子どもは自分で決めて、外へ出ていける。
足場を外せるのは、足場の下に、ちゃんと安全基地があるからでした。0歳のときの抱っこと、小学生の「自分で決める」は、たぶん地続きなんだと思います。
妻と、今だけの時間
いまは私も妻も、そろって家にいられる時期です。だから、二人とも気兼ねなく赤ちゃんを抱ける。
1人目のときは、こんな余裕はありませんでした。時間にも気持ちにも追われて、抱っこしながら頭は別のことを考えていた気がします。
3人目にして、ようやく「ただ抱く」ができるようになったのは、肩の力が抜けたからでもあり、今この時期だからでもあります。
抱っこできる時間は、積み直せない
私はよく、「お金は積み直せるが、時間は積み直せない」と考えます。
お金は、減っても、また働いて積み直せます。投資の含み益が溶けても、淡々と積み立て直せばいい。でも、0歳の赤ちゃんを抱っこできる時間だけは、過ぎてしまえば、二度と戻ってきません。
「抱き癖がつくよ」と言われるたびに、いまの私はこう思っています。
つくならついていい。どうせ、抱ける時期なんて、あっという間に終わるんだから。
3人目にして、やっと、理屈より先に手が動くようになりました。それでよかったんだと、いまは思っています。
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