2階建ての我が家には、ロボット掃除機が2台いる。1台を運ぶより、結局これが楽だった

我が家には、ロボット掃除機が2台います。

1台は1階のリビングと廊下を担当していて、もう1台は2階の各部屋を回っています。妻と子どもたちは、なぜか「しろちゃん」、「ななちゃん」と呼んでいて、私もいつのまにかそう呼ぶようになりました。「しろちゃんもう帰ってきた?」「ななちゃんがまた椅子の脚で詰まってる」みたいな会話が、ふつうに食卓で交わされています。

家電に名前をつける家とつけない家があると思うのですが、我が家は完全につける側でした。理由を考えてみると、たぶん毎日勝手に動いて、たまに失敗して、子どもにいたずらされて、それでも黙って仕事を続けているからだと思います。働きぶりが、ちょっとペットに近いのかもしれません。

その2台が、別々の階で別々に働いている。今日はこの話を書きます。

目次

なぜ2台になったのか

最初から2台で始めたわけではありません。

4年前、1階用に1台目を買いました。Roborockの、当時のミドルクラスです。これがよく働いてくれて、リビングと廊下はほぼ手をかけなくてよくなりました。我が家は基本フローリングで、一部にカーペットを敷いているくらいなので、ロボット掃除機との相性は悪くなかったんだと思います。

問題は2階でした。

当たり前なのですが、ロボット掃除機は階段を上れません。1台を1階と2階で兼用しようと思うと、毎回人間が抱えて階段を運ぶことになります。本体はそれなりに重く、しかも上の階と下の階では間取りが違うので、マッピング(部屋の地図づくり)もやり直しに近くなる。「掃除をラクにするために、重い機械を毎日階段で運ぶ」というのは、どう考えても本末転倒でした。

それで2年前、2階用にもう1台を増やしました。これがEufy(Anker)の薄型モデルです。

迷わなかったわけではありません。「そもそも1台でなんとかならないか」は、けっこう真剣に考えました。でも、考えれば考えるほど、多階建てで1台を持ち回るのは無理がある、という結論にしかなりませんでした。そして実際に2台にしてみたら、もう1台運用には戻れない体になりました。

2階用に「薄さ」が必要だった理由

2階用を選ぶとき、譲れない条件が一つだけありました。「ベッドの下に入れること」です。

1階用のRoborockは高機能で気に入っていたのですが、背が高くて、寝室のベッドの下にはわずかに入れませんでした。フレームと床のすき間に、数センチ届かない。あと少しなのに、そのあと少しが越えられない。

ベッドの下というのは、たぶん家の中でいちばん掃除されない場所です。普段は見えないし、しゃがんで覗き込まないと存在を忘れている。でも、人がいちばん長く過ごす場所のすぐ下なので、髪の毛もホコリも、しっかり溜まります。

薄型のEufyを2階に置いて、初めてベッドの下を掃除させたときのことは、わりと覚えています。戻ってきたダストボックスを開けて、「うわ」と声が出ました。ここまで溜まっていたのかと。家事における貧乏神は、こういう「見えていない場所」に静かに居座っているんだな、と桃鉄をやっている身としては妙に納得しました。

それ以来、ベッド下を定期的に掃除してくれるというだけで、薄型を選んだ価値は十分にあったと思っています。脚の低い家具の下に潜れるかどうかは、スペック表の数字以上に、暮らしの満足度に効きます。

運用は「出かけるついで」だけ

2台をどう動かしているか。これがいちばん拍子抜けするほど単純で、日中、家を出るときにアレクサに「掃除して」と言うだけです。

我が家はアレクサとスマートホーム機器を10年くらい使っていて、ロボット掃除機もそこに繋いでいます。だから玄関で靴を履きながら「アレクサ、掃除して」と言えば、人がいなくなった家の中で2台が動き出します。帰ってくると、床がリセットされている。

このやり方の地味にいいところは、人がいない時間に動かせることです。ロボット掃除機はそれなりに音がするので、在宅中だと下の子のお昼寝に響いたり、テレビの音とぶつかったりします。留守中に回してしまえば、その問題が丸ごと消えます。

もう一つ、これは副産物ですが、留守中に家の中でロボットが動いて物音がしているのは、防犯の観点でも悪くないと思っています。完全に無音で真っ暗な家より、生活の気配がある家のほうが、外から見て「留守だ」と判断されにくい。これはあくまで副産物で、それ目的で動かしているわけではありませんが。

スケジュール機能で毎日決まった時間に自動化することもできるのですが、我が家は「出かける日に出かけるとき」という運用に落ち着きました。在宅の日もあるので、人の生活リズムに合わせたほうが結局ちょうどよかった、という感じです。

子どもの「片付けスイッチ」になった

3人の子どもがいる家なので、床は放っておくと散らかります。おもちゃ、学校のプリント、脱いだ靴下、読みかけの本。これを毎回「片付けなさい」と言うのは、親のほうが先に疲れます。

ところがロボット掃除機を入れてから、この声かけが一つ変わりました。「片付けなさい」ではなく、「掃除機が来るから、吸われたくないものはどかして」になったんです。

これがわりと効きます。「片付けなさい」は親の都合の号令ですが、「吸われるよ」は子ども本人にとっての実害(大事なものが吸い込まれる)なので、自分ごとになる。実際、小さいパーツや消しゴムが何度か吸われて、ダストボックスから救出する事件が起きました。子どもは学習して、ロボットが動く前に自分の大事なものをどかすようになりました。

これはたぶん、私が投資や暮らしのあちこちで頼っている「仕組みで動かす」という考え方の、子育て版です。意志や根性で片付けさせるのではなく、片付けざるを得ない状況を環境のほうに作ってもらう。ロボット掃除機は、掃除をしてくれるだけでなく、「床に物を置きっぱなしにしない」という習慣のきっかけまで、勝手に作ってくれました。

正直、満点ではない

ここまで2台運用を褒めてきましたが、不満がないわけではありません。

一つは、髪の毛がまとまって落ちていることがあること。ブラシに巻き込んだ髪の毛のかたまりを、走行中にぽろっと落としていくことがあって、これを見つけるとちょっとがっかりします。女性が多い我が家では、髪の毛は永遠の課題です。毛が絡みにくい設計のモデルが最近は増えているので、次に買い替えるならそこは重視すると思います。

もう一つは、水拭きモードはあったほうがいいということ。我が家の2台は吸引が中心で、本格的な水拭きはしません。フローリングは吸うだけだとサラサラにはなるのですが、夏場の足裏のべたつきや、食べこぼしのあとの薄い汚れは、やはり拭いてほしくなる。今のロボット掃除機は吸引と水拭きの2-in-1が当たり前になってきているので、これも買い替えの動機になりそうです。

正直に書くと、「不満があるなら最初から高機能な1台にすればよかったのでは」と思う人もいるはずです。でも、後で書くとおり、我が家の答えはやっぱり「安めの2台」でした。

多階建てなら、1台の高級機より2台の普及機

費用の話をします。

我が家の2台は、どちらも購入時で1台5万円弱でした。合計してもだいたい10万円前後です。一方で、いまのハイエンドの全自動モデルは、1台で15万〜20万円近くするものもあります。

ここで考えたいのは、「2階建ての家に、高級な1台」と「各階に普及価格の1台ずつ」のどちらが幸せかということです。

高級な1台は、確かに性能はすごい。でも、その1台を階段で運ぶ手間は消えません。性能が高くても、2階に行かなければ2階は綺麗になりません。一方で、各階に置きっぱなしの2台は、性能こそ普及クラスでも、「運ばなくていい」「いつでもその階で動ける」という、多階建てにとっていちばん大事な価値を満たしてくれます。

私はこれを、投資の感覚に近いと思っています。スペック(リターン)が最大の1点に全部を賭けるより、自分の暮らし(リスク許容度)に合った構成に分散させるほうが、結果として満足度が高い。我が家にとっての最適解は、「最強の1台」ではなく「ちょうどいい2台」でした。

もちろん、平屋やワンルームなら話は別で、その場合は1台にお金をかけたほうがいいと思います。あくまで「階段で分断された家」での話です。

いま買うなら、という話

我が家の2台はもう数年もので、今から同じ型番を買うのはおすすめしにくいので、いま選ぶならどうするかを書いておきます。

1階(メインフロア)用は、全自動ドック付きの普及〜中位モデル。掃除のたびにダストボックスを空ける手間がなくなる自動ゴミ収集と、できれば水拭き対応。Roborockなら全自動の定番モデルがこの価格帯に複数あります。我が家の不満だった「水拭きがほしい」は、ここで解消できます。

2階(寝室フロア)用は、とにかく薄型を最優先。ベッドやソファの下に入れるかどうかが満足度を決めるので、本体の高さが8cm前後の薄型モデルを選びます。Roborockには高さ7.98cmの超薄型フラッグシップもありますが、寝室用の2台目に上位機を入れるのは贅沢なので、Eufyの薄型・普及モデルあたりが現実的だと思います。我が家が2階にEufyを選んだのと同じ発想です。

機種名は時期によって変わりますし、セールで価格が大きく動くので、買うときはAmazonや楽天のセール価格を確認してから決めるのが確実です。ロボット掃除機はバッテリー製品なので、数年で買い替える前提で、最新の上位機に全部賭けすぎないほうが、気持ちもラクだと思います。

床のことを、もう考えなくなった

2台運用にしていちばん変わったのは、掃除そのものより、「床のことを考える時間が消えた」ことかもしれません。

出かけるときに一言かけるだけで、帰ってくると1階も2階も床がリセットされている。ベッドの下も、忘れたころに綺麗になっている。掃除をしようと意気込む瞬間が、生活からなくなりました。

これは、投資を「毎月自動で積み立てて、あとは忘れる」形にしたときの感覚と、本当によく似ています。意志でがんばるのをやめて、仕組みに任せる。任せたあとは、その存在を忘れていられる。ロボット掃除機の2台は、我が家の「家事の自動積立」みたいなものになりました。

ななちゃんとしろちゃんは、今日も別々の階で、誰にも見られずに働いています。たまに椅子の脚で詰まって、アプリに泣きの通知を送ってくるのもご愛嬌です。


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