2026年6月19日、日経平均株価が71,250円で取引を終え、史上最高値を更新しました。
ついに7万円台が定着しつつあります。
この日の値動きは、そのまま今の相場の雰囲気を表していました。朝は497円高で始まり、前場は高値警戒感で伸び悩み、後場に入ると利益確定売りで535円安まで下げる。でも最終的には持ち直して最高値更新。強いんだけど、ザワザワしている、という感じです。
こういうとき、長期積立をしている人の頭の中には、いろんな声が湧いてきます。
「こんなに上がったなら、一旦売って下がってから買い直す?」
「積立を増やすべき? 減らすべき?」
「今から始めるのは高値掴みじゃないか?」
今日は、そのザワザワに対して、15年積立を続けてきた3児パパとして、正直に答えます。電卓とシミュレーションを持って。
日経7万円は、本当に「高い」のか
まず、そもそもの話から。
7万円という数字は、たしかに日経平均の史上最高値です。でも「高い」かどうかは、何と比べるかで変わります。
ひとつの見方として、PER(株価収益率)があります。企業の稼ぐ力に対して、株価がどれくらい割高・割安かを見る指標です。2026年6月時点の日経平均のPERは18倍前後と言われていて、これはバブル期(60〜80倍)と比べるとまだ落ち着いています。
もうひとつの見方として、円ベースとドルベースの違いがあります。日経平均は円で計算されていて、足元の円安(1ドル150円前後)が数字を押し上げている面があります。ドルに換算すると、実は数年前とそれほど変わらない水準という見方もある。
さらに言えば、今回の上昇の主役はAI・半導体関連の一部銘柄で、TOPIXは同日に反落しています。日経平均が7万円でも、市場全体が7万円相当の水準かというと、そうでもない。
とはいえ、これが割安だとは私も言い切れません。強気のムードが続いていることは事実で、今後どうなるかは誰にもわからない。これは正直に書いておきます。
私が「何もしない」根拠は、「7万円がまだ安い」だからではなく、別の理由からです。
シミュレーション1:「売って待った人」vs「動かなかった人」
ここが本題です。3つのシミュレーションを、表で並べてみます。
まず、よくある話から。「高値だから一旦売って、下がったら買い直す」という戦略です。直感的には賢く見えます。でも、数字にすると、どうでしょうか。
前提は、評価額1,000万円(取得原価700万円・含み益300万円)を売り、1年待つ、とします。
| 比べる項目 | 売って待った人 | 動かなかった人 |
|---|---|---|
| 売った瞬間の税金 | 利益300万円 × 20.315% = 約61万円 | 0円 |
| 手元に残る額 | 約939万円 | 1,000万円(評価額のまま) |
| NISA枠 | 売った分の非課税枠が消える | 枠は維持 |
| 配当・分配金 | 待機中は受け取れない | そのまま受け取れる |
| もし1年横ばいだったら | 61万円の税金ぶん、確実にマイナス | 実質ノーダメージ |
| もし1年で10%上がったら | 買い直しでさらに高値掴み | 値上がりをそのまま享受 |
「売って待つ」が得をするのは、「ちゃんと下がって」「下がったところで買い直せた」ときだけです。つまり、当たれば少し得、外れれば確実に損。しかも相場が読めない前提に立つと、外れる確率のほうが高い。これは、割に合わない賭けでした。
シミュレーション2:「高値で積立を止めた人」vs「止めなかった人」
次に、これからの話です。「7万円は高いから積立を一時停止する」という選択肢を計算します。
前提は、毎月3万円・20年・年率7%(長期平均の仮定)とします。
| 比べる項目 | 1年止めた人 | 止めなかった人 |
|---|---|---|
| 積み立てた期間 | 19年(最初の1年を休む) | 20年 |
| 入れた元本 | 684万円 | 720万円 |
| 20年後の将来価値 | 約1,435万円 | 約1,565万円 |
| 差 | ― | 約130万円多い |
最初の1年を止めると、20年後におよそ130万円少なくなる計算です。
ポイントは、止めた1年ぶんの積立(36万円)が、いちばん長く複利で育つはずだった初期の元本だということ。早く入れたお金ほど、働く時間が長い。だから、初期を止めるダメージは、思ったより大きく効いてきます。
「下がってから入り直そう」と1年待って、しかも下落が来なかった場合、この約130万円が、まるごと取り逃しになります。
シミュレーション3:「日経7万円スタート組」は本当に不利か
最後に、一番聞きたい人が多いであろう話です。「今から始めるのは高値掴みじゃないか」という疑問への答えです。
歴史的な事実をひとつ。
日経平均が最高値を更新した翌年・翌々年・5年後の平均パフォーマンスを見ると、最高値更新直後に買った人でも、10年以上保有した場合のほとんどでプラスになっています。これは日経平均に限らず、世界株指数のデータでも同様の傾向があります。
なぜか。株式市場は長期では企業の利益成長を反映するからです。「今が最高値だから損する」は、10〜20年のスパンでは成立しにくい。
たとえば、リーマンショック前の「高すぎる」と言われた高値で始めた人を追ってみます。
| 時点 | 日経平均(おおよそ) | そのとき言われたこと |
|---|---|---|
| 2007年(リーマン前の高値) | 約18,000円 | 「高すぎる、今買うのは危ない」 |
| 2009年(暴落後) | 約7,000円台 | 「やっぱり高値掴みだった」 |
| 2024年 | 約40,000円超 | 当時の高値の倍以上 |
| 2026年6月 | 約71,000円 | 当時の高値の約4倍 |
2007年の高値で買って、暴落しても積立を続けた人は、最終的に大きくプラスになりました。「あの頃も高すぎると言われた」という事実は、今7万円を見て怖くなっている人にとって、地味な安心材料になります。高値は、長期で見れば通過点でした。
ただし、これは「必ず上がる」の根拠ではありません。世界経済の成長が止まれば、この前提は崩れます。これも正直に書いておきます。
動きたくなる気持ちの正体
ここまで計算してきましたが、一番の問題は、数字ではなくて心理の話かもしれません。
相場が上がっているとき、人は2つの感情で動きたくなります。
ひとつは「早く乗らなきゃ」という焦り(FOMO)。もうひとつは「高すぎるから一旦逃げたい」という恐怖です。面白いことに、この2つは正反対の行動(追加購入と売却)を促すのに、どちらも同じ「相場の動きへの反応」から来ています。
行動経済学の言葉でいうと、損失回避バイアスが働いています。人は、同じ額の利益より損失を大きく感じる。だから「上がったものが下がるかもしれない」という想像が、「もっと上がるかもしれない」という想像より強く刺さる。それで「一旦売って安全圏に逃げたい」という気持ちになる。
でも、この感情的な判断が、長期の成果を削ることは、計算が示した通りです。
まめ家がやること・やらないこと
この日、私がやったことを書きます。
答えは、ほぼゼロです。表にすると、こうなります。
| やったこと | やらなかったこと |
|---|---|
| 積立設定の確認(中身は変えない) | 追加購入(タイミングを取りに行かない) |
| 12月のNISA成長枠への移し替えを予定通り進める | 一部売却(税金を払ってまで動く根拠がない) |
| この記事を書いて思考を整理する | 積立の一時停止(最も機会損失になりやすい) |
楽天証券の積立設定はそのまま。毎月の積立額も変えていません。妻名義のSBIも同様です。やったのは、設定が予定通り動いているか確認しただけ。
暴落を10年待ち続けて、現金を寝かせたことがあります。あれで失ったものを計算したとき、その金額は正直、見ていて辛かった。「動かないこと」がいかに大事かを、いちばん高い授業料を払って学びました。だから今回は、上がっても、動きません。
唯一やったことがあるとすれば、この記事を書いたことです。7万円という節目を、自分の思考整理に使いました。
淡々と青マスを踏む
桃鉄で言えば、今の相場は「全員が同じ目的地に向かって競っている盤面」のようなものです。誰かが先を走っているように見えても、目的地を決めて、青マスをこつこつ踏んでいる人が、最後には安定して残る。
7万円という数字は、盤面のイベントです。貧乏神が来たわけでも、独占物件を取られたわけでも、ない。
設定を変えず、確認だけして、次の青マスへ。
それだけです。
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