気づいたら賃貸の家を作り込んでいた。退去のときどうなるか、一個ずつ見てみた

引っ越しは、これまで何度もしてきました。学生時代から数えると、片手では足りないくらいです。

ただ、今の家ほど「家そのものに手を入れた」ことは、一度もありませんでした。

引っ越してきたときに持っていたスマートホームらしきものは、アレクサのスピーカーが1台だけ。それが気づけば、玄関の天井にカメラが付き、勝手口の鍵が勝手に閉まり、電球が時間で点くようになっていました。

ある日ふと、思ったんです。

これ全部、退去のときどうなるんだろう、と。

目次

アレクサ1台から、気づいたらここまで来ていた

最初は本当に、声で天気を聞くくらいの使い方でした。

そこから少しずつ増えていったのは、便利だったからというより、暮らしの中の「めんどくさい」が一個ずつ消えていく感覚が気持ちよかったからだと思います。鍵を閉め忘れて家を出て不安になる、あの感じがなくなる。帰宅前に玄関が明るくなっている。子どもが自分で家に入れる。

一度この快適さを味わうと、前の暮らしには戻れません。投資で「設定して忘れる」を覚えてしまうと、もう手動には戻れないのと同じです。

気づけば、賃貸の家を一からスマートホームに作り変えていました。

退去のとき、何が問題になるのか

賃貸の退去でお金の話になるのは、結局のところ「原状回復」です。穴を開けた、傷をつけた、跡が残った。ここに尽きます。

スマートホーム機器に当てはめると、引っかかるのはだいたい次の3つです。

  • ドアや壁にネジ穴を開けたか
  • 強力な両面テープの跡が残るか
  • 照明器具など、設備そのものを交換したか

我が家の装備を、この3つの目で一個ずつ見ていきます。せっかくなので、正直に。

完全に問題ない組(置くだけ・挿すだけ・差し替えるだけ)

まず、何も心配していないグループから。

スマート電球(玄関) は、もともと付いていた電球を外して、差し替えただけです。退去のときは元の電球に戻すだけ。器具そのものは一切いじっていないので、これはもう原状回復もなにもありません。

Echo(アレクサ)とSwitchBotのハブ も同じで、コンセントに挿して、置いてあるだけ。テープも貼っていなければネジも使っていません。引っ越し当日、箱に詰めればそれで終わりです。

このあたりは、賃貸かどうかすら関係ないレベルでした。

たぶん大丈夫な組(両面テープ・挟み込み)

次は、ドアに付けているけれど本体に加工はしていないグループ。

SwitchBotロック は、もともとあるサムターン(鍵のつまみ)に被せて固定するタイプです。固定は両面テープと挟み込みで、ドアそのものにネジ穴を開けたりはしていません。剥がせば元に戻る、はず。「はず」と書いたのは、まだ退去していないので、跡が完全に消えるかを自分の目で確認したわけではないからです。

ただ、ドア本体を傷つける設置をしていないという一点で、ここはあまり心配していません。

正直、グレーな組(両面テープ跡が読めない)

ここからが、今回いちばん書きたかった部分です。正直、わからないものがあります。

Tapoカメラ(玄関の天井) は、天井に両面テープで貼っています。直接ではなく、木の板を一枚かませて、その板を天井に固定する形です。だから理屈の上では、板ごと剥がせば原状回復できる想定でいます。

ただ、天井のテープ跡が完全に消えるかというと、正直わかりません。やってみないと分からない、というのが本当のところです。

Sesame(勝手口の鍵) も、金属ドアに両面テープで貼っています。金属なので木よりは跡が残りにくいだろうと踏んではいますが、これも確証があるわけではありません。

ここで「全部キレイに剥がせます」と言い切るのは簡単ですが、それは嘘になります。わからないものは、わからないと書いておきます。

グレーとどう向き合うか

とはいえ、深刻に悩んでいるわけでもありません。

我が家が付けているのは、結局のところ「貼って・置いて・差し替えただけ」のものばかりです。ドアに穴を開けたわけでも、壁に下地を入れたわけでもない。最悪でも、退去のときに交渉やクリーニングで収まる範囲だろうと踏んでいます。

それでも気になる人は、設置の前か契約のときに、管理会社にひとこと聞いておくのがいちばん安心だと思います。「両面テープでこういう機器を付けてもいいか」と確認しておけば、後でモヤモヤしません。我が家は確認していませんが、それは「この程度なら大丈夫だろう」という自分の判断であって、誰にでも勧められるものではない、とは思っています。

結局、いちばんの損は「やらないこと」

ここまで書いておいてなんですが、退去のことを気にしすぎて何も付けない、という選択が、いちばんもったいないと思っています。

賃貸に長く住んでいれば、画鋲の穴くらいは当たり前に許されます。あれが許されるなら、貼って・置いて・差し替えただけのものなんて、たいてい何とかなるだろう、と。仮に多少の補修費がかかったとして、せいぜい数千円から数万円の話です。

その数千円を恐れて、毎日の暮らしの快適さを何年も手放すのは、計算が合いません。

これは、投資で暴落を待って現金を寝かせ続けた話と、まったく同じ構造だなと思います。来るかどうかもわからないリスクに備えて、確実に手に入る毎日のリターンを諦めてしまう。あのときの自分と同じ間違いを、住まいでもやりかけていたわけです。

スマートホームは、持ち家のためのものだと思われがちです。でも実際は、貼って・置いて・差し替えるだけで、賃貸でも思った以上にできてしまいました。退去のとき、いくらかは戻ってくる敷金から引かれるかもしれません。それでも、ここ数年の「鍵を気にしない暮らし」「言わなくても明かりが点く玄関」の価値のほうが、自分にとってはずっと大きい。

次に引っ越すときは、たぶんまた一から作り直すんだと思います。そのときはもう、迷わない気がしています。


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