研修3日目です。今日は装備を揃えます。
前回、種銭の作り方の話をしました。先取りで自動的に貯める、というやつですね。今日はその貯めたお金を入れる「器」を用意します。RPGでいう、武器と防具を揃える段階です。
器というのは、ネット銀行と証券口座のこと。ここをケチって普通の銀行とよく分からない口座で始めると、手数料や金利で地味に損をし続けます。逆に、最初に良い装備で固めておけば、あとは何年でもそのまま使えます。私はもう15年、ほぼ同じ装備で戦っています。
結論:開くのは「ネット銀行」と「ネット証券」
最初に結論を言っておきます。開くべきは、ネット銀行とネット証券です。
給与の振込先として、なんとなく地元の銀行のままにしている人が多いですが、ネット銀行は手数料の無料回数が多く、ポイントもつき、スマホで全部完結します。証券も、店舗を構える昔ながらの証券会社は手数料が高いので、ネット証券一択です。
具体的には、私が長く使っているのはこの組み合わせです。
- ネット銀行:d NEOBANK(旧・住信SBIネット銀行)+楽天銀行
- ネット証券:楽天証券(メイン)+SBI証券(サブ)
なぜこの顔ぶれなのかを、順番に説明します。
ネット銀行は「d NEOBANK」と「楽天銀行」
まずネット銀行から。
私がこの2行を使っている理由はシンプルで、この2社が業界でずっと「最強のサービスを出し合ってきた」からです。片方が良いサービスを出すと、もう片方が対抗して、さらに良いものを出す。その競争のおいしいところだけを、両方の口座を持つことで「いいとこ取り」できます。
ひとつ注意点を。d NEOBANKは、もとは「住信SBIネット銀行」という名前でした。ドコモグループ入りにともなって、2026年8月3日からは「ドコモSMTBネット銀行」へと社名が変わる予定です。名前がコロコロ変わって戸惑うかもしれませんが、中身は同じ銀行です。
この銀行の一番の武器が、「定額自動入金」という機能です。これは、別の銀行から毎月決まった額を、手数料無料で自動的に引っ張ってくる仕組み。しかもこの設定をしておくと、毎月ポイントももらえます(ポイントの額は制度改定でちょこちょこ変わるので、最新は公式サイトで確認してください)。
第1話で「種銭は先取りで自動化」と言いましたが、その自動化の主役がこの機能です。給料が入る口座から、毎月決まった額を自動で吸い上げて、貯蓄・投資用に分けておける。手作業がいらないので、意志の弱い人ほど効きます。
楽天銀行のほうは、給与の受取口座に指定すると、他行への振込手数料が月3回無料になり、ポイントもつきます。そして後で出てくる楽天証券との合わせ技で、普通預金の金利がぐっと上がります。
正直に言うと、「振込リレー」はもうやめました
ここで、昔の私の話を一つ。
ネット銀行に詳しい人なら、「銀行から銀行へお金をぐるぐる動かして、振込のたびにポイントを稼ぐ」というテクニックを聞いたことがあるかもしれません。いわゆる振込リレーです。私も昔はやっていました。
でも、今はやめています。理由は3つあります。
ひとつ、各行のルールがコロコロ変わって、無料で振り込める回数の条件がどんどん厳しくなった。気づいたら手数料を取られていた、なんてことが起きるようになった。ふたつ、単純に面倒くさい。毎月の振込件数を管理して一喜一憂するのが、だんだんバカらしくなってきた。みっつ、資産がある程度育つと、月に数十円〜数百円のポイントが、誤差みたいに小さく感じるようになった。
だから今の私は、手数料無料の「定額自動入金」だけ使って、あとはポイント稼ぎのために無理に振込を回したりはしていません。
これから始める人に伝えたいのは、ポイントの最適化に最初から夢中にならなくていい、ということです。そういう細かい技は、慣れてきてから、楽しめる範囲で。まずは「2つの口座を開いて、自動入金を設定する」。これだけで十分です。
ネット証券は「楽天証券」をメインに
次は証券口座です。ここは迷わず楽天証券をメインにすることをおすすめします。
理由は、初心者にとっての分かりやすさです。私は15年、楽天証券を使っていますが、画面が直感的で、スマホからでも迷わず買えます。そして先ほどの楽天銀行と「マネーブリッジ」という設定でつなぐと、普通預金の金利が上がり、証券の入出金もスムーズになります。口座を開いたら、まずこのマネーブリッジを設定する。これは必ずやってください。
楽天証券の詳しいレビューは別の記事に書いたので、気になる人はどうぞ。
SBI証券は「サブ」として、余力があれば開く、という位置づけです。私の場合は、投資信託の積立の一部や、優待のクロス取引(これは中級者向けの別のテクニックなので、ここでは触れません)にSBIを使っています。ただ、最初の1社としては楽天で十分。SBIは「もっといろいろやりたくなったら」でかまいません。
参考までに、我が家の今の使い方をざっくり書いておくと——NISAは夫婦そろって楽天証券、SBI証券は投資信託の積立や優待クロスのサブ機、銀行はポイントがもらえる先に分散、という形です。ただこれは15年かけてたどり着いた形であって、最初からこんなに増やす必要はまったくありません。最初は楽天をひとそろい、で十分です。
口座開設で挫折する人の正体
ここまで読んで、「手続きが面倒くさそう」と思った人もいるかもしれません。
正直に言うと、口座開設でつまずく人の壁は、手続きの難しさじゃありません。本気度です。
ネット証券の口座開設は、スマホと本人確認書類があれば、申し込み自体は15分くらいで終わります。本当に面倒なのは手続きじゃなくて、「いつかやろう」と思って永遠に後回しにする、その心のクセのほうです。
将来の自分を、ちょっと具体的に想像してみてください。今日この口座を開いた自分と、開かなかった自分。10年後にどれだけ差がつくかは、第0話の電卓ではじいたとおりです。それを一度でも本気で想像できた人は、たぶん今日のうちに動きます。
まず動く。それで変わる
最後に、この回でいちばん言いたいことを。
完璧な準備をしてから始めようとすると、たいてい始まりません。口座は、あとからいくらでも追加できるし、設定も変えられます。だからまずは1つ、楽天証券の口座を開く。それだけでいい。
それと、もう一つ正直なことを。こういうお金の最適化は、向き不向きがあります。ポイントや手数料をいじるのが楽しくて仕方ない人もいれば、面倒で苦痛な人もいる。苦痛な人は、無理に全部やらなくていいんです。自動入金だけ設定して、あとは放置でもちゃんと前に進みます。
大事なのは、少しでも動くこと。少額でも、一歩でも動けば、何かが変わり始めます。私もそうやって、種銭しかなかったところから15年歩いてきました。
次回はいよいよ、この器に中身を入れます。オルカンをクレジットカードで積み立てる、連載の本丸です。
それでは、研修4日目で。
※この記事は私個人の経験にもとづく考え方の紹介で、特定の金融商品の購入を勧めるものではありません。各社のサービス内容・手数料・ポイント制度は変更されることがあるので、口座開設の前に必ず公式サイトで最新の情報を確認してください。
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